研究内容
物質表面の改質、加工により、ある物質そのものが持つ光学的、電気的、または機械的特性が大きく変わり、物質のバルク的な性質とは異なる物性を材料に与えることができるようになります。本研究室では、物質の物理的特性に大きく影響を与えうる表面、界面に着目し、この部分を改質、加工することによる新規物性の発現とその理解、また新たなデバイス応用に関する研究をしています。
・シリコン太陽電池の表面パッシベーション
シリコン太陽電池の効率を向上させるため、太陽光により生成した光キャリア(自由電子)が基板表面で再結合することを抑制できる、表面パッシベーションと呼ばれる技術が使われています。近年、新規パッシベーション膜として、膜中に負の固定電荷を持つアルミナ材料が注目されています。この材料を用いることで、膜中の負電荷によって基板表面から電子が反発し、表面で電子が再結合することを抑制できます。
私たちは、従来のより高価かつ時間のかかる製膜法に比べ、より安価かつ簡便な手法であるゾルゲル法に着目し、良好なアルミナパッシベーション膜の作製を試みています。非接触ライフタイム測定装置を用いて生成した光キャリアの寿命を求め、さまざまな条件にて作製した表面パッシベーション膜の評価を行っています。
・ゾルゲル法を用いた、ウェットプロセス太陽電池の作製
ゾルゲル法を用いて、シリコン基板上に新たに半導体薄膜を形成することにより、低コスト、高効率な太陽電池の作製を目指します。当研究室では酸化モリブデン膜を用いたシリコンヘテロ接合型太陽電池の研究を行っています。
・着雪防止表面の作製
表面を機械的に凹凸構造を形成することで、表面に撥水効果が生じます。この効果を応用し、着雪現象が低減する表面の形成を試みます。また、表面撥水剤を用いた着雪効果の検証も行っています。
・金属表面プラズモン、メタマテリアルによる新規光学特性を利用したデバイス
物質表面に、金属や半導体の微小構造を形成し、新規な光学特性の発現とその原理の解明を目指します。